レシピだけじゃない料理本もあるのだよ
家事や片付けの本は好きなのだが、意外と料理本は買わない。そんななか最近読んだのがこの二冊。
一冊目は、作家の室生犀星の孫で、室生犀星記念館の名誉館長の室生洲々子さんが書いた室生家の家庭の味の思い出も綴ったエッセイのようなレシピ本です。
祖父・室生犀星や、母の随筆家・室生朝子さんの作家とはちがう顔がとてもおもしろい。人のうちのエピソードをレシピを通して垣間見るのって面白いです。そしてイラストレーターの武藤良子さんの絵もすごくよいです。武藤さんのオムレツとか卵焼きのイラストがすごくぐっときて、何だろうとおもったら「焦げ目」がすごくよかったです。
色味も実際の食べ物の色じゃなくて、思い出のフィルターを通したような、不思議なような懐かしいようななんかいい気持ちになる色でした。
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『をみなごのための室生家の料理集』
室生洲々子 著/亀鳴屋 発行/平成28年6月
店頭販売:室生犀星記念館(金沢) 軽井沢高原文庫 古書往来座(南池袋)のみ取扱
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もう一冊は、料理家の渡辺有子さんの去年2015年に出たレシピ本です。
この本は、私が常々疑問に思っていたことの解決のかなりでかい糸口を
教えてくれた本なのです。レシピ本って様々な種類の料理・料理家が出してますが
基本は、材料と作り方が書いてあります。文章の構成は様々ですが箇条書き形式で各条を要約して書いてあるが多いと思います。それ通りに作ろうとしても案外不案内だったり、核の部分が感性な感じの文章で不明瞭だったりして、写真と料理は美味しそうなのにもやっとしてしまったりしていました。
理詰めでは、確かに料理本としてはちょっと魅力的じゃないかもしれないのですが
なんとなく納得いかないと思ってしまうのでした。(だからあんまり料理本買ったりしないのかもしれません。)それでこの本のタイトルが気になり読んだところ思わず膝を打つようなことになったのです。料理の作り方だけでなく、料理の仕方を重点的に書いてあったのです。その日のメニュー(ご飯、メインのおかず、添えるおかず、汁物)自体の段取り、道具やお皿を用意するタイミング、片付け方まで解説するってすごい画期的なんですよ。献立というのはここまでをいうのだなと思いましたね。下ごしらえから作業のポイント、片付けまでのタイミングを図解で説明しているのも新しい!
あと、家のごはんを作る人が一番困っている、そして毎日悩んでいる「献立」を考えるという作業に対しても心がこう軽くなるようなヒントをくれて、毎日料理を作る人への応援歌のような素晴らしい本だと思いました。